自己紹介がてら昔話をさせてください。
今もそうかもしれませんが、かつて日本人は外国の人たちから「働き気違い(ワーカホリック)」と呼ばれていました。
高度成長の波にのり、モーレツ社員という言葉があるくらい、文字通り一生懸命に働いていました。
休みの日には社員旅行です。大型バスを貸し切って温泉旅館やホテルに行き、飲めや歌えの宴会を開いていました。
松田屋旅館もその恩恵に与り、団体旅行を中心に旅館経営を行っていました。
皆さんがお休みの時こそ猛烈に働かなければならないのが旅館業です。毎日忙しく働きました。
それこそ「働き気違い」のようにです。
宿泊のお客様が車やバスでやってきます。さらに日帰りでの団体客も受け入れていましたので、ほとんど休みなくやっていました。
毎日数十人のお客様が見えられるので、一人一人のことなど気にしていませんでした。
お客様のことを気にしないということは何を気にしていたんでしょうか?
1日の売上、1ヶ月の売上、1年の売上、そしてもうけはいくらか。
つまりお金を強く考えるようになっていました。
象徴的な例をあげます。
お客様からクレイムがありました。
その時わたしは頭を下げながら、「客に頭を下げているんじゃない。金に頭を下げているんだ。がまんがまん。」と思っていました。
そして不況がやってきました。
団体旅行は減り、松田屋の売上も減少しました。
仕入先への支払いだけでなく、銀行への借り入れもありますので、資金繰りに追われる日々がはじまりました。
「なぜお客は松田屋に来ないんだ?」
そういう疑問を、「こうなったのは政府の経済失政、無策のせいだ。」「松田屋だけじゃない!どこもそうなんだから仕様がない。」と時代のせいにして真剣に考えませんでした。
しかしふと気が付いたのです。お金のことばかりで、本当にお客様のことを考えた経営をしてきたのだろうかと。
たぶん、お金のことばかり考えてきたので、頭が別のことも考えたくなったのでしょう。「人を見なければ駄目だよ」と。
それから、料理を工夫し、「囲炉裏料理」を出すようにしたり、宴会場を無くし、部屋出しをメインにしたり、内風呂を貸しきりできるようにしたりと、色々な工夫をするようになりました。
また、なるだけお客様のご要望にひとつひとつ答えたいと思い、客室数を減らし、お客様の数を制限させていただきました。なお空いたスペースはロビーなどの公共空間にしました。
本格的に動き出したのは、平成15年からです。まだまだ始めたばかりですので勉強中です。
この文章をお読みいただいている方。ここまでこのような駄文に付き合っていただきありがとうございます。
松田屋旅館は、こういうオヤジが主人の宿屋です。またこのホームページは、わたしの息子が素人丸出しでつくったものですから(笑)、よく分からないところも多いと思います。
旅館のホームページを見ているのですから、近々ご旅行をお考えのことなのでしょう。
せっかくいらっしゃったのです。お茶は出せませんが、ゆっくり見ていってください。
素人丸出しですが、これから松田屋の魅力をお伝えしたいと思います。もしもこのホームページで松田屋旅館に少しでも興味を持っていただけたら、これ以上の喜びはありません。
(名)松田屋旅館 代表社員