本書は、戦後続いた日本の高度経済成長は石油ショックにより終わったのでなく、田中角栄の登場により終わった、というところから始まる。高度成長期の日本は、農村部から都市部への人口流入により、ヒト、モノ、カネを東京一極に集中、そうすることで非常に効率的な経済運営を行っていた。
しかし「国土の均衡な発展」を旗印に効率的な運営を行える都市部から、非効率な農村部へと資本を再分配した。それにより日本の経済成長は鈍化した。地方への資本の分散による経済体制を完成させたのが田中角栄だ。その手法は今も生き続け、日本経済の長期衰退を招いた。
東京への一極集中体制が批判されるが、なまじ分散させるより東京に資本を集中させた方がはるかにメリットが大きい。また資本の再分配は、地方経済の自立を妨げ、非効率な仕組みを温存させることにつながっている。
著者の提案を実現させるには、現行の選挙システムが最大の足枷になるだろう。田中角栄は革命家と称されているが、新たな革命を起こす人物は現れるだろうか。