Posted on 1 月 24, 2009 in by adminNo Comments »

 

 
本書は、戦後続いた日本の高度経済成長は石油ショックにより終わったのでなく、田中角栄の登場により終わった、というところから始まる。高度成長期の日本は、農村部から都市部への人口流入により、ヒト、モノ、カネを東京一極に集中、そうすることで非常に効率的な経済運営を行っていた。

 

しかし「国土の均衡な発展」を旗印に効率的な運営を行える都市部から、非効率な農村部へと資本を再分配した。それにより日本の経済成長は鈍化した。地方への資本の分散による経済体制を完成させたのが田中角栄だ。その手法は今も生き続け、日本経済の長期衰退を招いた。

 

東京への一極集中体制が批判されるが、なまじ分散させるより東京に資本を集中させた方がはるかにメリットが大きい。また資本の再分配は、地方経済の自立を妨げ、非効率な仕組みを温存させることにつながっている。

 

著者の提案を実現させるには、現行の選挙システムが最大の足枷になるだろう。田中角栄は革命家と称されているが、新たな革命を起こす人物は現れるだろうか。

Posted on 1 月 22, 2009 in by adminNo Comments »

 

本書は観光学の本である。
観光学の発展の経緯を歴史的に辿り、既存理論の弱点を乗り越えうるサスティナブル・ツーリズム理論の可能性を述べる。

 

サスティナブル・ツーリズム理論は、サスティナブル(持続可能な)という意味が示すとおり、行われる観光活動が経済的に持続可能でなければならない、と説く。この理論において観光活動は、採算が合わなければならない極めて経営センスを問われる活動となる。

 

また著者独自の定義が述べられており、サスティナブル・ツーリズム理論は観光客、地域住民、旅行産業の3者ともに利得を得る、三方一両得の理論である、としている。

 

サスティナブル・ツーリズム理論を実践するに際し重視しているのが「文化の仲介者」の存在だ。観光を成功させるには、開発者が上からトップダウンで押し付けるのではダメ、現場の人間が自分たちの利益のためだけの要求をボトムアップするのでもダメ。

 

三方一両得の理論で触れた3者を取り持つ「文化の仲介者」がトップとボトムを巻き込むことにより観光は成功する。この働きを「ミドルアップダウン」と言う。

 

観光活動の成否は、文化の仲介者になりえる人物がその観光地にいるかどうかが重要ということになるが、不在の場合、成功は疑わしくなる。

 

考えられるのは積極的に人材を呼び寄せることだ。成功事例として挙げられている秋田県田沢湖町のわらび座のルーツは、地元の人間ではないよそものである。その観光地に魅力を感じる人をより多く持ち、観光活動に参加できる体制が必要だ。

Posted on 1 月 20, 2009 in by adminNo Comments »

本書は具体的な事例をもとに著作権の基本的な考え方を紹介している。著者は弁護士の方。専門用語はあまり無く、平易に書かれている。

 

著作権の対象は著作物だ。著作物は小説や音楽の楽曲など芸術作品など表現に関するものが含まれる。

 

面白いのはアイディアは著作物ではないということ。形になる前のアイディアの段階では著作権の対象とはならず、保護はされない。

 

例えば旅館の設備で人気がある、「露天風呂付き客室」というのはアイディアであり著作物ではない。客室に露天風呂を用意して販売する、というアイディアを誰が思いついたか分からないが、もしこれに著作権を認めると、「露天風呂付き客室」を自分の宿につくろうとした場合、最初のアイディアマンに許可を取らなければならないし、使用料も払わなければならない。

 

もしそうであったら、使用料の兼ね合いから「露天風呂付き客室」は今ほど流行していなかったかもしれない。

 

著作物となるのは、アイディアに独自の表現を施したものだ。例えば「露天風呂付き客室」のデザインがデザイナーのオリジナリティを遺憾なく発揮したものになると、それは著作権の対象となる。

 

様々な宿から気に入ったものを選ぶのは宿選びの楽しみだ。宿は衣食住が詰め込まれた場所なので、様々なアイディアがでてくると思われる。どんなものが好まれるかは博打なので予め分からない。色々なサービスが現れるのを邪魔することなく実験させてみることが望ましいと思われる。